Ecoutarium

エクタリウム・システム

外国語だからこそ能力に合わせて

母国語だったら、読むスピードの方が圧倒的に早く、人の話すスピードの方がずっとゆっくりなんです。ですから、相手が話している間に、こちらの話すことを考えたり、他のことを考えたり、相手の仕草が気になったりと、随分余裕がある物です。

これが外国語となると、速くて聞き取れないとか、内容がごちゃごちゃになってしまったり、リスニングを不得意にしている人が大変多いのです。問題点はいくつかあります。まず、単語を知らない。実際に話される発音に慣れていなくて聞き取れないということ。フランス語にはリエゾンがあり、これに慣れていないと単語が認識できない事もあります。構文やフランス語独特の言い回しなどにも慣れていないと意味が取れない事も有るでしょう。また、話題になっている内容を知らないとちんぷんかんぷんになってしまいます。これは母国語でも同じですね。

このように、中初級のフランス語学習者が陥りやすい問題を解決して次のステップに進めるように、開発されたのがエクタリウムです。エクタリウムでは、特に日本語とフランス語の最大の違いである語順に慣れ、日本語式訳して内容を理解するのではなく、フランス語の語順のまま文章全体を理解していくことを目的とします。

長い文章も短く区切って

文章が理解しやすい文節毎に区切って、日本語の対訳を載せていますが、慣れていない人は、この日本語を見てもなかなか意味を取れない人もいます。意訳する場合は適宜言葉を補って、普通の日本人に判るようにしますが、こういう事をしなくても理解できるようになる様にします。

初心者に合った速度とは

次に、フランス語に慣れていないために、ネイティブのスピードで話されると、脳が処理できる以上の情報量が入ってきて、オーバーフォローになってしまいます。良く聞かれるのが、初めは難しくてもネイティブスピードを聞き続けるべきだとか、赤ちゃんでも聞き取れたり話せるようになるとか言いますが、赤ちゃんには大変長い時間をかけ、ゆっくりと単語一つ一つ話しかけたりします。本当にネイティブスピードを聞き続けて判るようになるのか疑問です。

速すぎて聞き取れないのであれば、これは音楽を聴いているのと同じで、脳が言語を理解していくメカニズムさえ作れないのではないかと考えました。フランス語のスピードを脳の処理速度にまで落として脳が理解している状況にし、それを持続させることでフランス語を理解する構造を作り上げる必要があります。 エクタリウムでは、「速すぎる」という問題をどう克服するかを考え、ゆっくり聞いて、脳が言葉を認識して聞いていく様に仕向ける2通りの方法を導入しました。

一つは、ネイティブの音声をデジタル音声処理でゆっくり話してもらいます。デジタル処理でゆっくりにしているので、意図的にゆっくり話しているのと違い、発音、つまり口の形は通常通りです。ですので、速くて聞こえなかった音もしっかり聞こえてきます。フランス語は日本語と違い、1文字に1音ずつ発音できませんから、ゆっくりしゃべっても、日本人に判るように話すとは限りません。

もう一つは、通常のネイティブスピードですが、文節毎にポーズを入れています。発音は良く聞き取れるようになっても、理解が追いついていなくて、どんどん判らなくなってしまう様な状況に陥ります。少しづつ区切りながら聞けるので、情報が溢れてしまうことなく着実に聞いて理解していくことができます。

こうして、徐々に理解していく方法ですが、初めは頭の中がいっぱいで大変でしょう。しかし脳の中にフランス語を理解していく回路が出来ていくことで、だんだん容易くなってくるでしょう。

上級者向けの学習方法を易しく始める

これらのトラックは、語学学習に非常に効果的だとされるシャドーイングの易しく始められるようになりました。シャドーイングは耳から聞こえた音を口で発音するトレーニング方法ですが、ネイティブスピードで初めから行うのは困難です。誰か他の人が聞いてくれていれば良いのですが、独習では音を聞きながらでは実際ちゃんと発音できていないのに、出来たような気になってしまいます。

これでは自分の癖を作ってしまうだけで、あまり良いとは言えません。ポーズパターンを使えば、ポーズの間に発音して、しっかり自分の発音を聞きながらトレーニングすることが出来ます。敷居が低くなっているので、無理して変な癖を付けずに着実に進めることが出来ます。

発音するという行為は、口の筋トレです。脳から送られてくる信号が確実に口の筋肉が反応するようにしなければ行けません。

脳内にフランス語を解釈する回路を作り上げていく

次々やってくる情報を意味が分かるように処理しなければなりません。もちろん母国語では普通にやっていることですが、外国語では発音を聞き取る事に負担が掛かっているせいか、意味が取れなくなってしまうことがあります。

文章はセンテンス毎で意味が完結しているわけではなく、いくつか合わさって意味を持つ事が多いのです。これは通常、段落となって表されますが、エクタリウム・モードでは意味段落毎に聞けるように、初めに簡単な要約を日本語で聞いてから、フランス語を聞くようにしました。

内容の目星を付けて聞くと話がよく分かるようになります。常に自分の元々知っている知識や経験などを参照しながら、フランス語が言っていることを理解していくと、この文章がどんなことを言おうとしているのか、どんな結論に持って行こうとしているのかなど、内容を把握しやすくなります。

日仏対訳トラックの使い方

何度も聞いて覚えてしまいましょう

仏日対訳トラックを何度も聞けば、例えば、100回ほど聞けば、フランス語も日本語も覚えてしまうでしょう。もちろんフランス語で話される全ての表現、単語を網羅するわけではありませんが、よく使われる表現は限られており、頻出単語上位1000語が全体の80%も使われているというデータも発表されています。

アタック25効果

アタック25はテレビの視聴者参加型クイズ番組で、昔は優勝するとエールフランスで行くパリ旅行(今は地中海クルーズ)を獲得するクイズに答えるのですが、それまでに獲得したパネルの部分しか見ることが出来ません。

当然、沢山見れる部分が大きければ大きいほど、VTRの内容が解り易くなります。ですから、フランス語も同様に多くの単語や表現などを知っていた方が、内容を理解しやすいのです。

ただ、ボキャブラリーや表現は、単語だけやイディオムだけを繰り返し覚えても、実際、なかなか記憶に残らなかったり実用的ではありません。文章で出会っていく方が良いとも言われています。

「コンピューター/ordinateur」や「CD」といった新しい単語は日仏でほとんど同じ意味を持っていますが、基本的な単語ほど言語間の違いが大きいものです。例えば「faire」は作るとかするという意味になりますが、英語でもmakeやdoに当たる単語と比較的近い言語グループでも1対1対応にはなりません。

また、初心者のうちは単語の意味にこだわりすぎてしまって、意味が取れない事だって良くあります。例えば、Ça ne fait rien.と会話で使われますが、単語の意味が全部知っていても、分かりにくいですよね。こういう慣用表現は、そのまんま覚えていく方が良いでしょう。

もう一つ、アタック25の海外旅行獲得VTRクイズで、広範囲にパネルが開いたとしても、その内容を知らなければ答えられません。逆に良く知っていれば、ごく僅かな情報でも内容が分かるとも言えます。このように語学学習のもう一つの方向性は、話題の情報をその言葉で知る必要があります。

翻訳や通訳の人も仕事の際に、その分野の単語や内容を調べておくのが常識となっていますが、話される内容が知っていれば、より内容を理解しやすいのです。

フランス語ポーズトラックの使い方

日仏対訳トラックは何度も繰り返しして聞くことで、自然に覚えてしまう事を目的にしていますが、慣れてくるとだんだん思考回路を使わなくなってくる場合があります。

脳は筋肉と同じで、使わないと発達しません。ですので、何らかのタイミングで脳を働かせるように仕向けなければ行けません。

ポーズトラックは、フランス語を文節毎に区切ってポーズを入れています。この空白の時間を使って、日仏対訳トラックと同じように意味を解釈していったり、フランスの発音の後に自分で口で言ってみるシャドーイングの練習やペンで書き取りをするディクテの練習が行えます。

特にシャドーイングは効果的な練習方法だと思いますが、初めは大変難しいと思います。エクタリウムの文節ポーズトラックなら、比較的ハードルを低くして始めることが出来ます。

ディクテも、フランス語教室で中級ぐらいになると行うことが多いと思います。スペルが正確に書くなど、難易度も高いので教室で先生がレベルに合わせてやってくれるか自宅でCDやカセットなどを使って練習する事があります。

エクタリウムの文節ポーズトラックなら、聞き返す場合もポーズ毎に区切ってあるので取り組みやすいでしょう。